私とヒロは幼なじみだ。
ただそれだけなのに。
いつの間にか他の気持ちを抱いてた。
YOU
「あーまた同じクラス・・・・なんで?」
「んー?腐れ縁じゃねぇ?」
私たちは小学校の頃からの幼なじみ。
それなりに、ずっと仲がよくて
そしてここの高校に来るまでずーっとクラスは一緒。
運命だよね。運命。
そしてこの高校二年目もまた同じクラス。
本当はとっても嬉しいのに、どーでもいいって言葉が先に出ちゃう。
「!!帰りのバス賃貸して!!」
「またぁ?今月もですか」
「財布の中に札が気づいたらねーんだ」
「あんたがちゃんとしてないからでしょ」
「すまんすまん」
「分かった。貸してあげるから。けど今日返してもらうから家までついてくるからね」
「わかったわかった」
一ヶ月に一度はだいたい忘れる、この瞬間をいつも待ってる。
今日返してもらうために一緒に帰るんじゃなくて、
一緒に話しながら帰りたいだけ。
バス賃なんて口実。
私たちは一緒に校門を出る。
まわりの女子からは冷たい目で見られる(結構痛い;)
ヒロは学校では結構もててて、よく告られている。
なのにヒロは次々に振っていってた。
「すっげぇ好きなやつがいるから」
とヒロは言う。
幼なじみの好きな人だから、少し気になるけど(少しじゃないけど)
知らないふりしてる。
「?最近ぼーっとしてんな」
「え?うん?そう?」
「いつもは怒鳴ってるくせにさ。あれをあーしろこーしろって」
「うるさいなぁぁ〜〜」
私は軽くヒロをにらむ。
「あっ、そうそう」
「どしたの?」
「俺、転校するから」
「へぇ・・・ってえ?」
ヒロはゆっくり空を見上げる。
私はそのヒロの顔を見る。
いつからそんなに大人っぽい顔になったんだろう。
いつから私はヒロに恋してるんだろう。
そんな事考えながら一緒に空を眺める。
「親父の仕事がらみってやつ?」
「あーそうなんだ。へー」
どう答えればいいかわからなかった。
なんで強がってるんだろう。
今の事態が飲み込めてない返事。
「俺が居なくなってせーせするだろ?」
「うん。せーせするよ」
本当に言いたい言葉が言い切れなくて、とがった言葉を口にする。
いつから私は自分の思いを伝えきれなくなったんだろう。
私はヒロのことを知りすぎた。
ただそれだけ。
ヒロは私の顔を見る。
「マジで言うとは思わなかった」
「傷ついた?」
ふっと鼻で笑う私。自分自身の行動がよく分からない。
「あーうん」
ヒロの言葉が曖昧になる。
「いつ行くの?」
「嫌いなら来なくていーんじゃねぇ?」
私はその嫌いという言葉に反応する。
嫌いじゃないのに。本当は大好きなのに・・・・・
「送ってあげるってゆーのに」
「あさっての日曜日」
「最後を見届けてあげましょー」
「なんだよその最後って」
もう一度ヒロの顔を見ることは出来なかった。
その言葉の後私たちの間には会話がなかった。
バスに乗ると、いつの間にか雨が降っていた。
あさっての日曜日が怖かった。
06.3.5
思い通りに伝わらない気持ち。
初めての前編後編に分けてみました。