「楽しかったよ。ヒロが一緒にいて」
バイバイ、サンキュー
いつの間にか空は秋の気配がしてた。
落ち葉が綺麗に落ちる姿を見ながら
俺はに呼ばれて近くの喫茶店で待っていた。
はいつもだったら俺よりも先に来るはずなのに、
俺のコーヒーが冷めても来なかった。
何回コーヒーをおかわりしただろう。
ようやくは姿を現した。
「ごめん。待った?」
なかなか聞かない言葉に俺は少し戸惑いを感じた。
はコーヒーを店員さんに頼み俺の前のいすに座った。
「全然まってねーけど?」
「本当?あのね・・・こっから先はヒロに色々な意味で謝らなきゃいけないの」
「俺に?」
「ずーっと会えなかったことと関係してるから」
そういえば最近のは何かと理由をつけて俺と会ってなかった。
は店員さんからコーヒーをもらい、それを啜る。
「苦い」と一言声を漏らし、砂糖とミルクを入れていた。
「で?話って」
「ごめん。私留学するの」
「は・・・?」
「親が決めたことでね。反対できないの。で、会えなかったのはその手続きとかで」
はそっと俺から目線をそらした。
言葉の意味を理解できない俺は呆然としていた。
「だから・・・・ごめんなさい。続けれないと思う。私たち」
「何年いるわけ?」
「・・・・わかんないから、こんな話持ち出してるんでしょ?」
そういうとは今まで見たことないような冷たい目でこっちを見ていた。
「俺は!!続けられるとおもうっ」
俺はその喫茶店のテーブルをボンっと叩く。
ちょうどお客さんが少ない時でよかった。
「私には・・・無理なんだ。ごめん寂しいんだよぉ」
は少し涙目でそう言った。
ここじゃなかったら、俺はきっとを抱きしめてキスして
それでそれでドラマみたいに「私やっぱり帰らない」みたいな言葉を想像してて
そんなことはありえないって言葉が怖かった。
「なんでここで別れを告げられなきゃいけないんだよ?」
「私の家とか、ヒロの家とかには思い出がいっぱい詰まってるから。悲しくなるだけ」
そう言っては立ち上がって伝票を手に取った。
「私やっぱり行かない」なんて言葉をやっぱり今でも待ってて、
の親を少し憎んだりした。
そんなことしても意味がないのは知ってたけど、どうすることも出来ない自分に
嫌気がさしてしょうがなかった。
俺も最後の言葉を待ってたし、多分も最後の言葉を待ってたんだろう。
はこっちを向いてまた悲しそうな目をした。
「俺・・・・応援してっから!帰ってくるの待ってるから」
はにこっと笑って、清算する場所へ歩いていった。
最後のの言葉はよく聞こえなかったけど、微かに
「ありがとう。バイバイ」
って言葉が聞こえたような気がした。
06.4.14
また会える日を待ってるから。