「ここだべ?」
いつの間にかの家の前にまで自転車をこいでいた。
Goodbye
「そうだよ。よく覚えてたねっ」
「あぁーうん」
さっきのせいで会話がなかなか成立しない。
うまくしゃべれない。
さっきのことを意識?してるわけねーべ。
多分・・そう。
久々にこの大きな門を見た。
初めてのの家。ちょっとドキドキする。
「やっぱ目の前で見るとやっぱしデカイな」
「こんな家・・・いらないのに」
は吐き捨ててそう言った。
はどうやらすっげー家のことが嫌いらしい。
「お帰りなさい。ちゃん」
家に入るとそう召使(?)っぽい人がそう言った。
「後ろの方は?」
「友達」
「まぁ。お友達!」
「キッチン使うから。あけといて」
「分かりました」
そういうとそのおばさんは奥の方へと歩いていった。
天井にはシャンデリア。横を見るとすっげー大きな階段。
「んちって何してんだべ?」
「んーヒミツ。多分卒業するまでには分かるんじゃない?」
意味不明。
まったくもって意味不明。
わけわかんねーべ。
まぁ言いたくない理由が色々あるに違いないけど。
30分後・・・・・
「あっちゃ・・・昨日冷蔵庫入れたと思ったら冷凍庫に入ってるし・・・・」
そう言ってが取り出してきたのは、凍ったままのプリン。
プリンは好きだけど・・・・凍ったままのは・・・食べたことねーな・・・。
「本当にごめんね。あーまた作り直しだし」
そう言って自分の頭をポンっと叩いた。
やばい・・・可愛すぎる。
俺のハートにズキュンときてしまった。
次の瞬間、俺は気づいたらを抱きしめていた。
「ちょ・・・藤くん・・・??」
「あ!!ホントゴメン。えっと・・・ごめんなさい」
俺はの体からぱっと離れた。
まだぬくもりが手の中にあって、まだ抱きしめていたいという下心があってどうしようもなかった。
は顔を真っ赤にして「別に・・」と言った。
俺らの間は音もなく、ただ時計の針の音だけがキッチンに響いていた。
06.4.23